世界の武術いろいろ,  中国ドラマレビュー,  天と空と龍神と~カンフーと生きる日々

陳情令大人気のわけ②陳情令は冬ソナになりうるか?

 

 

答えはNOだね。すでに鬼滅の刃が流行りすぎて多くの人はそっちに気が向いているし、
私の見たところ陳情令のファンは彼ら2人のファン。

「陳情令」という物語そのものが愛されているわけではないんだよね、必ずしも。
そういう場合もあるだろうけど、なんだかんだ、ほとんどの人が見たいのは主人公の2人。

 

例えば、本気で武術をやっている男性陣などは陳情令など知りもしないし
言っても興味も示さない。
男たちはむしろキングダムみたいな方が好き。

このドラマは、ターゲットは女性に違いないし、女性向けだったと思う。

 

陳情令と冬ソナブームを比較してみる

確かに陳情令は、今までにない中国ドラマへの関心と評価と好意を高めたと思う

かといって、冬ソナのようになれるわけではないよね。

まあ冬ソナは一種の奇跡みたいなものだったわけで、
でも冬ソナが愛され、あれだけのロングランブームの火付け役になれたのは

冬ソナのぺヨンジュンが愛されたから、というだけではないと思う

ぺヨンジュンは確かにあれで大スターになった
なりすぎるほどの大スターになった

でも、ぺヨンジュンだけが冬ソナの魅力ではなかった

一番大切だったのは、冬のソナタという物語自体だった

冬ソナの物語自体が、日本の多くの女性、
どちらかというと軽い遊びみたいな恋愛をもてあそびがちな若い世代ではなく、

純愛を夢見て、純愛をしてきたマダム世代の女性たちの心に、恋愛観に、
冬ソナはぴったりだった

それに初めて見るものにとっても、物語自体確かに面白く、
チュンサンは一体誰?っていうミステリーがありながらも

ひたすらの純愛が描かれているから、韓流を始めてみた我々にはすごく新鮮だった

またあの頃の韓流ドラマは脚本がすごくうまく、言葉をすごく大切にしていた
だから人生についての含みのあるセリフが多くて、それが心に染み入ることで
癒されたり、暖かくなったりした

 

ゴミのような、売り出すことだけを考えて
売れなきゃ捨てていくという、ある意味冷酷なエンターテインメント界を見慣れてしまった私たちは

次第に年代を超え性別も超えて、
ゆっくりじっくり時代を超えて観られる冬ソナを愛するようになり、

マダムだけでなく私のような世代も見るようになった
そのうち話の面白さやなじみやすさによって中高年の男性でも冬ソナを観だした

うちでは90のうちのばーちゃんと私が一緒に冬ソナを観たりした

それに続くように、他の韓流ドラマもみてみようかという流れができていった

 

陳情令~今までにない話題性があるのになぜ?
冬ソナの共感力と、陳情令の親しみにくさ

 

それが、ぺヨンジュンというスターだけが独り歩きし、スタードラマであったなら、
こんな、いやあんな大流行は生まれなかったはずです

でも、残念ながら陳情令には、そこまでの流れを作り出すほどのインパクトはない

第一に日本人にとって、武侠仙術ドラマなんていうのは、なんだかわからない中国式チャンバラでしかなく
本当はそうではないのだけど、そもそも中国武術というのは奥深い、非常に奥深く神聖な文化なのだけど、

どうしてもまだまだそういう、チャンバラ、今でならゲームキャラ的なもの、そういう軽い「イメージ」で見られてしまう

それでも陳情令は、かなり繊細に美しく感性も豊かな物語として制作されていて、
武侠仙術ドラマの中ではとても珍しい他にはない詩情があるし、心の機微は細かく描かれているし、
ストーリーも展開も最後のどんでん返しまでミステリーで、感動もので、

愛される素地は十分持っている

 

でも、やっぱり冬ソナが、多くの人の純愛へのあこがれを喚起したのに対し
ゾンビとばかり戦っている陳情令は、いくら感性豊かでもなじめない人にはなじめないし、

そもそも、もともと自分の心の中にあった願望やあこがれを反映していないのだ

心の中にあった憧れを反映した冬ソナならすぐになじめるけど、

見たことも聞いたこともない中国武術世界江湖世界を
いきなり見せられても、どう解釈していいのかわからない人が多いのではないでしょうか?

余談になるけれど、だからこそ、
少しでもカンフー・中国武術の素晴らしさを知って体験していただこうと、
特にまったくの初心者でありかつ運動不足でありかつ知識ももっていない女子にむけて
女子目線でも「わかりやすい」ように、カンフーを伝えるため、
私はこうしてブログを書き、ツイッターをし、練習会をして、レッスンをしています

つまり、私だってまだまだ分からないことだらけの奥深いカンフーですが
それでも勇気をもって少しでも知っていることから、なじみやすいテーマから
カンフーを伝えていこうというのが私の願いです

でも、まだなかなかカンフーをなじみやすいもの、と思う人は少なく、
先にも書いた通り、陳情令は冬ソナやその後続く多くの韓流ドラマのように、
女性たちの深層にある願望や理想や夢を反映していないし
かつカンフーや仙道などにまったく知識も親しみもないために、

陳情令を観たからってその先、
他の優れた武侠仙術ドラマを見てみようという人はそこにはほとんどいないように思います
おそらく、見る人は言わなくても見るでしょう
見ない人は、続けてみないどころか、陳情令さえ最初の一話で挫折するでしょう

予想するに、今の華ドラファンは、韓流に飽きた人たちが流れてきてたどり着いた新しいエンターテインメントです
そこに行きついて、結構面白いじゃん、という人たちが増え、次第に人気を得てきているとみられます

でも、大きなムーブメントを作り出すとか、広く知られるエンターテインメントには
まだまだなれません。共感よりも、独特の世界観に親しみにくさの方が先にでてしまい、
陳情令のような異例の人気作品でも、その壁はぶちやぶることが、できていない、と見受けられます

 

イケメン大集結!はいいけど、それだけでは流行らない。

 

第二に、このドラマはウリになっていることがイケメン大集合であり、イケメンに頼りすぎている
だから結局、好きになった理由が出ている人がかっこいいから、という意見が多い

目の保養か。それだけでは、忘れられていってしまう。。。

たとえ出ている俳優がファンになっても、歳なんてすぐとるし、
若いめちゃくちゃかっこいい俳優はアジア圏にわんさかいるぞ

だから、若くてかっこいい、に頼りすぎちゃうと、いつか色あせてしまう

いや、別にかっこいいから好きになったことがわるいことでは決してない
出ている人がかっこいいことは女子にとっては嬉しいこと!
私だってシャオジャンが好きだい!!

それに他にもかっこいいからついつい観てしまったドラマはいくらもあるし
それをきっかけにそこで描かれている文化にも興味が深まったことは多々あるし。

問題はそこにばかりフォーカスがいき、
イケメンさえ多くでれば何とかなる、というある意味アジア圏全土での風潮が
今後のドラマのあり方自体としてどうなのかということです

多分、最初は、ある時期からの韓流ブームがそれを作り出した
韓流は、古いものを見ると、その脚本の濃厚さ、言葉の深み、物語性が芸術レベルだったけど、
今ではどれも、ほとんど話の展開は同じである

そしていつからか、韓流は脚本やストーリープロットの細やかさではなく、
とにかくイケメンを大量に起用することで売り上げを伸ばしていくようになった
韓流はイケメンを大人数で登用して人気を得るストラテジーをつくった

陳情令も、この潮流の一つで、イケメンばかり出てくる

多くの人のブログ等を見ていると、なぜ陳情令が好きっていうと、
出ている人がかっこいいから。
出ている面々が、かっこいいからという理由。

これでは、これだけでは、
いくら本当は作品の質が最高級でも、
なかなか本質的なところが評価されにくくなってしまう

 

実際、物語自体が好きなんだ~!とのファンは少ない。
武術への理解、古代中国文化への造詣や関心もほぼない
中国独特の仙道の世界への知識、道教的文化背景への知識は皆無。

そういうものがなくちゃいけない、と
研究者のように上から目線で言っているように見えるかもしれないけど、
確かに観て楽しむ分には別に文化も歴史も何も知らなくたって自由だ

でもこの陳情令は、そういうものを軽視した陳腐な作品ではないからこそ、
イケメンだけに目線が行ってしまうことは残念なことだな、って思うの

それほど、陳情令は他の今までの中国武侠ドラマとは一線を画す
歴史的背景は、明確にはない。
でも古代だというのはわかるし、
ワンジーが易経を読んでいることや
地名が実際の土地の地名なので
完全なファンタジーではないことはわかる

また武当派をはじめ、中国武術のいろいろなエッセンスが込められているのも確か。

そういうものを堪能できるよう、美しく、細やかに、旅をしているかのように
その世界にいるかのように、詩情ゆたかに作られた陳情令は、一つの文化になっている

でも、それ以上にイケメン大集結の影響が強すぎ、またそれに対抗するようにゾンビが多すぎ笑、

中国武術を知り、仙術世界を知り、日本に影響を与えてきた古代の中国文化への
関心興味を持つ余裕が観ていてない。

多くの人が観ているのは、おそらくイケメン、もしかしてイケメンだけということもあるかも。

主人公の2人は、この役にぴったりで、かつ絶世のイケメンである

女性にとっては時には余計な存在である、
美女や美女との恋愛などはほぼ出てこない

だからますますイケメンにだけ集中できる

イケメンを全面に出すことで、
そこにはまり、それ以外の部分、肝心の物語や人の感情や文化背景や生き方などは
あまり注目されているように見えず、むしろ後でにまわってしまう
色濃いのに色あせてしまう

そうなると、冬ソナのように、
心には響いていかないのだ
繰り返しになるけど、
物語自体が愛されないと、本当に心に染み入る、心に残る、その先に続くものにならない

あ~かっこいい、で終わってしまう

つまり流行したのは、成功したのは、
陳情令の物語や文化や歴史や物語を貫く感動や意志ではなく、
「イケメン」。

残念だけど、それを認めざるを得ない
カンフーを知ってほしい私にとっては、特に残念でならない

イケメンが話題になりすぎるドラマや映画やその他エンターテインメントのその先は?

まずイケメンのファンが増える
そして、ほとんどのファンは陳情令が終わってもイケメンたちを追いかけることに興味がいく

そして、一方では、あまりにイケメンを全面に出すと、
逆にイケメンなんて興味ない人は最初からシラケてしまって見ないし、
出ている俳優がタイプのイケメンじゃない、という人も見ない。

ましてやイケメンをクローズアップしたドラマなど毛嫌いしている男子は、それだけ聞いて見ない
特に本気で武術をやっている狡猾な男たちは「バカにしてんのか~~!!」になってしまうだろう

彼らはジェットリーなら尊敬するが、シャオジャンの顔など別に見たくないのです

 

だから、結局は、シャオジャンとワンイーボー、
この2人のファンを多く獲得することには成功した

シャオジャンとワンイーボーの人気はますます色濃くマニアックになっていく

よって彼ら2人のファンは、彼らが現代劇をするなら現代劇がはやる
音楽を重視するならそれが流行る。極端な話、阿戦が料理人になるというなら料理が流行る。
ファンはどこまでもこれからの彼らを追いかけ、期待するようになる。

そこにはもうすでに陳情令というドラマはなく、
中国文化を背景とした武侠仙術ドラマを見ようという意識もそこで成熟はせず、

ただひたすらシャオジャンとワンイーボーがどうしたのこうしたの、
ということが注目され、それがファンの最も大事なことだからだ結果として、
彼らのファンが彼らを追いかけるのみとなる

 

ここが、冬ソナにはなりえない理由だ

 

友情ドラマでいいじゃんか。

第3に、やはりこのドラマの話題性は、これがもともとBL小説から出てきたもので
ドラマの制作上BLにはできないので、

でもどこかに主人公の2人が愛し合ってるはず、という証拠を見出そうと
それが話題になり、関心ごとになり、興味の的になってしまっていることです

実際には、「陳情令」というドラマだけを見た場合、
何度も見れば見るほど、この2人はこのドラマのなかでは、
ロマンスの意味ではちっとも愛し合っていない。

最初は私もBLっぽいところを探していました

でも何度も何度も観ていくと、ぜんぜんそれらしいところはなかった

あるとすれば、ワンジーが確かにウェイインを好きだということ。それはわかる。

 

そこはどことなく恋のような愛をにおわせているが、
そういうほのかな感じを残して、あとは友情にとどめている

でもBLが本家本元だぞという、
そうした話題が最初になかったら、ここまでは話題にならなかったと思う

 

確かにとてもいい作品で、今までにないような繊細な映像美と人間の感性を映し出す
武侠仙術ドラマの傑作だとは思うけど、

 

正直、BL か?BLじゃないか?愛し合っているか?そう言うシーンある?というところに
関心が置かれたことが、流行につながったことが否めない

 

それだけ、ある意味低俗な興味がドラマにひきつけたなら、がっくりもする
またそれに大きな関心を寄せること自体が興味本位であり、

必ずしも同性愛への意識が高いということではない

むしろ、本当に同性愛が平等にこの世界で認められているなら
関心などそこにはいかないはず

そんなこと、話題にする必要ある?普通でしょ?
例えば私が住んでたカナダのカナダ人なら、全然そこに関心ないと思う

興味本位的になるということは、社会に浸透していないということ
普通じゃないと思われているということ
それはまた、残念である

制作上、ドラマがBLにできなかったことは、
原作をそのまま純粋に反映できなかったということでもあり、
原作のファンにとっては、がっかりかもしれない

でも、それが逆に陳情令が傑作作品になることにある意味貢献している

もしドラマで全面的にBL要素を取り上げてしまっていたら、
本当に同性愛に対する偏見的な興味本位だけが先行して
ひたすら話題になってしまったはずだ

でも、陳情令に限って言えば、これは武術ドラマ、江湖のドラマであり、

武術や仙道に生きる厳しさや哀しさや、その世界観、江湖の文化、中国の自然などを
映し出す芸術作品であり、
私にはウェイインがワンジーとどれだけ仲が良いかということよりも、

ウェイインがジャンチェンを救うために命をかけたということの方が、
ずっと心に残っている
その部分こそこの物語の心臓部であり、本当の意味での愛の物語だと思ってます

そう、男同士のあれこれ、いちゃいちゃしてるかどうか、がテーマではない
もしドラマで全面的にそれを取り上げてしまっていたら、
本当に同性愛に対する偏見的な興味本位だけが先行して話題になってしまったはずだ

同性愛はどこの国においても、まだ非常に微妙な位置にある
多くの人がそのことで苦しんでいる

だから、問題提起する作品ならまだしも、
もともとのテーマが違うドラマでは、まだ簡単に軽い気持ちで
ドラマ化していい題材、要素ではないと思っている

 

結論:陳情令よ、いつまでも…

 

というわけで、これが中華圏の国々のドラマブームの火付け役、きっかけにはならないと思う

一部のファンが、とりわけシャオジャンとワンイーボーのファンが、増えた
それだけか…

 

彼らは予想以上の成功を手にした
それはおそらく彼らの意識や予想を超えていると思うし
あまりにもいきなりスターになりすぎてしまったので
正直自分でも戸惑っていると思う

 

そしていきなりの大成功を手にすることは必ずしもその先の成功を約束するものでもない

今中国では次々と大作や、今までとは違う繊細な良質なドラマが次々だされ、
武術もできるような絶世のイケメンがどんどん出てきています

 

人が多い国だから美男美女に事欠かない
しかも中国人は私が知っている限りでは、努力家で情熱的な人が多く
一度やるとなったらとことんやるだから、俳優といっても主戦場のようなところで、

 

次何がいきなり流行りだすかはわからない
下からどこまでも延々と才能ある美男美女が輩出されるでしょう

 

その時、彼らは間違いなく年を取り、話題はもう陳情令から
全く違う物語やグループに移っているでしょう

年をとってもファンはいるだろうけど、
当の本人はどう感じてどう生きていくだろうか?

陳情令以上のものは結局何もこれといったものが生み出せなかった、いつも陳情令の話をされる、
陳情令の誰それさんですよね?一生そんな風にしておじさんになっていくだろうか?

 

そういう俳優やスターは多い、どこの国にもたくさんいる。

ここでいいたいのは、
私は彼らはこの先ダメだろう、陳情令もダメだろうとは言っていない
そういう可能性はあるし、世の中、そういう事例に事欠かないといっているだけ

私だって彼らのファンなのだ
でも彼らの一挙手一投足を追いかけようというつもりはない
全然ないし、プライベートには一切興味もない

ただ、私だって彼らのファンになり、陳情令のファンだ

だからこそ愛をこめて苦言も書いた

そう、陳情令はもっともっと芸術作品として高く評価されるべきだし、
若くしてあまりにもちやほやされた彼らが陳情令を超えて、

もっとあるいはあれくらい素晴らしい作品を次々と生み出してほしいと
純粋に、ピュアにそれが落ち着いてできるようであるといいなと願ってる

本気で願ってる

 

本当に、阿戦も阿博も、なろうと思えば素晴らしい俳優になるだろうし、
彼らだけじゃなく陳情組はみんなそういう可能性を持った魅力的な俳優ばかりだから

 

イケメンということでもてはやされて、あとは陳情令の役を超えられず、結果として
残念な俳優になってほしくない

 

そして、先にも言ったような理由で冬ソナのような、あるいは何度も起きるKPOPブームには
なかなかまだまだ中華圏の独特の文化やドラマが理解されないこと、

中華圏の文化に興味を持とうという人が少ない状況は事実としてまだまだあるなということ。

それが、

一連の陳情令人気を観てきて、ずっと眺めてきて思ったこと。

でも、

カンフーを好きになれば武術ドラマも好きになるし
武術を好きになれば武侠仙術ドラマも好きになる。

一時的に若くて肌がツルツルしているときだけ流行る俳優ばかり山ほど
出てきては消えていく、そういうのをいちいち追いかけたり流されるのでなく、

良い俳優はもっと成熟していつみても新しいと言われるような芸術の域にまで達し、
それが愛され、心の求める何かに響き、
良い文化交流ができることを祈っています

 

そして繰り返しますが、陳情令の大ファンとして
陳情令という一つの作品が、芸術として文化として長く愛され、評価され、
日本とは違う文化を知るきっかけになっていってほしいと願います

 

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