剣王朝~剣士なら観るべき久々本格武侠ドラマ(本気のリー・シエン)

ドラマ「剣王朝」について

引用元:テレビドラマ宣伝サイト

武術の最高峰の武器と言えば、剣です。
だからこそ剣が出てくるドラマは中国武侠でも多く、
またほかの国でも歴史ものでは多いと思います。
古典で言えば、三銃士がその代表例です。

武術の中での剣には特別な意味があります。

それは後ほど書きたいと思うのですが、
剣は見た目もカッコいいし、できれば自分もあんな風になってみたいと思わせる
だから世界中に剣を題材にした作品が絶えないのでしょう

しかしだからこそその分、剣を自在に操るにはそれなりの修練が必要です

剣士として生きるということはどういうことか、
派手な剣術シーンや漫画まがいのヒーロー・戦い重視型のコンテンツでは
なかなか具体的なその姿が見えてきません

まずは剣と生きるということを皆さんには知ってもらいたいと思ってきました

それを、物語を通して知るには、
最近放送した剣王朝はよい例でした

良い例というより、久々にがっつりと
「武侠ドラマここにあり」という武侠を主題にした作品であり
且つ最後まで見なければ気が済まない、というようなストーリー展開で、
且つ剣術と剣士がテーマの主軸だったので
「武侠における剣術とは何か」を垣間見るには、
これほど恰好のドラマはなかったといえるかもしれません

このドラマは映画人が作ったドラマとして話題になり、

本当に映画のように映像全てが美しいです

そして剣術のシーンも確かに多く、主人公丁寧が
白洋洞に入門して、一から鍛えられていく様は、
正に現実の武術の世界と重なるところが大きいです

本当に武術の世界の剣士はこうして成長するのだな、
というのがイメージが掴めます

かねがね言っているのですが、中国武侠ドラマはそれが良作であった場合、
まず中国武術・カンフーとは何かを知るとてもいい教科書になってくれるものです
確かにかなりデフォルメされてはいますが
良質なものほど、ゲーム的なものではなくきちんと歴史的背景も描きながら
その時代のカンフーの在り方を生き生きと描いているので
そのダイナミックさを「感覚でつかむ」ことが何より大事です

 

私が剣王朝で特に気に入ってるのが、
最初に弟子入りする白羊洞の薛忘虚
丁寧は(丁寧の本当の姿を知れば後からよりわかるのですが)
この師匠に大きく影響され、感化されて育ちます
本当は自分こそが天下一の剣士でありながら、
薛忘虚の老師としての在り方・剣術・義侠心・懐の深さ・目の解けどころなど
ただ技術だけではないという老師の理想の姿を、
薛忘虚は見せてくれるので
丁寧は彼や白洋洞で新たにいろいろなこと、
つまり強さとか技ではなく、
剣士として生きるとは何か、を学んだのでした

そしてまさに、薛老師は老齢だが経験豊かな武術家とはこんな感じだなと思わせます

薛忘虚が中国武術の素晴らしさを見事に表現している、もしかしてこの物語の
中心軸にある存在だったかもしれません


引用元:テレビドラマ宣伝サイト

特に彼の雪の中の決闘のシーンは、
まさに武侠ここにありで、しかもさすがは映画を撮ることになれたスタッフさんと
動作監督・武術指導家のレベル、俳優さんの集中力にはほんと感動しました

ただ、残念ながらこのドラマは後半からこけてしまう

この物語の一番の目的は、
策略と陰謀で失われた巴山剣場を、
皆が結集して復活させることだった、ですよね?

それが最後になって、戦いの理由が
「女弟子達の色恋沙汰が原因のヒステリックな喧嘩」に変わってません?

で、ずっと水攻めにあって生きるか死ぬかで囚われていた林煮酒が
重要なカギを握るかのように、命がけで彼を助ける救出作戦まで決行したのに、
その後の林さんの活躍はほとんど見られません
それどころか何のカギも握っておらず、何も特に特別な存在のようには描かれていませんでした
私は彼が大きな謎を抱え、物語の核心をついてくると期待して待っていたのですが
なぜか、活躍もしないまま、「王朝に自分の捧ぐ」みたいなことを言って
(せっかく皆が生死をかけて助けたのに!)勝手に王の前で自死してしまいます

とにかく、自分達を裏切った現在の王朝をつぶし、
道場を復活させて新たな天下泰平の世をつくるというのが
剣士たちの究極の目的だったはずが、

最後には重要人物は次々消え、
女同士の昔の恋敵でまた男のことで争っているようにしか
見えませんでした…

まあ確かに最後には丁寧が王朝を打倒しに
王宮へと向かい決闘をします

しかし、それは決闘まがいのようなもので終わり、
丁寧は結局、王朝をつぶさない選択をし、
自分を裏切った元武を許し、彼に国家再建を委ねます

まるで孔子みたいな奴だぜ!心広いな!
と思ったけど、そもそもの戦う理由が新しい王朝と剣道場の復権だったのに、
そこら辺が、最後にすごく曖昧になってしまいました

素雪もまたあっという間に死んじゃって。
華ドラや韓ドラでよくある、
最後は何が何だかわからずみんな死んじゃってさ~、みたいな終わり方でした

林煮酒ともう一人、元子初も私は好きで、彼の活躍を期待してました
しかし彼も活躍すべき人であるのに死んじまうのが残念でならなかった

親たちは元子初を愛していたし、毒盛りされていることを
知っていたはずでしょうに、かなり軽視しています
彼の優しさでは厳しい戦乱の世を導く王にはなれないと判断したのは
昔よくある話で分かるのですが
だったら司馬八達のような有能な宰相でもつけて
国を統治することもできたでしょう
彼なら欲にかられず国を治めたと思います
親の心中、特に溺愛していた母親の意図が全く分かりません…

結局あれだけの映像美と、
リー・シエンの迫真の演技があったのに、
このドラマは最後がダラダラで残念です

最後もバシっと決めて欲しかった
王朝を打倒しないのはすごい選択ですけど、
じゃあ道場は?国の行く先は?剣王朝は?その先どこへ行くのか?

このドラマは、ホントにリー・シエンの演技もよかったと思います

おそらく本当の剣術士ではなさそうだけど、かなり役に入れ込んでいて、すごい全集中でした

いつものリー・シエンとは違い、正に史劇の中にいました

最近チャラ男を演じたのもあり
どうせろくでもない下手な剣士しか演じられんだろうと思いきや、
今まで見た俳優の中では最も演技に入っていたと思います

リー・シエンの本気度は高く、後から知りましたが、
一説によるとほぼ代役もなく演じたそうです

代役あってもあの風格をよく出したなと思っていたので
やはりあの全集中とすごい役への入りこみ方、一流で本気でした

後で彼自身も、すごく集中しひたすらに演技に没頭したというようなことを
言っていました

まあ、最後がちょっと…ではあるのですが
全体としてはかなり面白いストーリーですし、
リー・シエンの努力の成果はきちんと出ているし
剣士の世界を垣間見ることができるし
白洋洞という、武術学院というもののイメージがつかめるし
やはり映画のように静かでかつ美しい描写、
これは是非、オススメしたいです

またどこかで放送したら、絶対見てね。

#太極拳 #陳情令 #剣王朝 #リー・シエン #中国ドラマ #肖戦  #中国武術

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