陳情令人気のわけ~実は人気がない

大器は晩成し、大音は希声、大象は形無し。
道は隠れて名なし。
それただ道は、善く貸し且つ善く成す。
– 『老子道徳経』41章

 

クリスマスにかけてなのか、今頃になって陳情令日本版写真集が発売された。

最初は、陳情令は世界を揺るがすほどの大ブームになっているのだと思っていた
なぜそう思っていたかって、ネットで検索すると、
「大ヒット」「大ブーム」ってことごとく書いてあるから。

検索すると、ことごとく「大ブーム」と強調する記事が出てくるから。

でも段々気づいてきた。陳情令は中国では確かに大ヒットしたかもしれないけど、
中国人でも作品評価は別れるし、ましてや他国の人などほとんど知らない。
日本人で知っている人にあったことはない。

そして、大ヒットしていると書いているのは、
よく見ると陳情令をコマーシャルしている何らかのニュースサイトばかりなのだ

人気があればファンのブログが沢山でてくるはずなのに。ファンのブログが出てこない
という事は本当にはそんなにファンがいないことを単純に表す

つまり、日本で大ブームとか大ヒットというのはそう思ってもらい話題性を作る宣伝文句の一つだった

自分もそれくらい気づけよな。
ネットに疎いというか、ネットのからくりをわかってない。

でも確かに陳情令はめったにない傑作作品であることは間違いない。
制作者たちと俳優もすごい情熱で作っている。

陳情令人気のわけ、の記事でも書いたけど、繊細に丁寧にすべてを描いている
ストーリー展開も、言葉も、目の動きも、風景も、すべてにおいて繊細であり、
「風流な」武侠ドラマとして一つの芸術になっている。

陳情令は明らかに他の作品とは一線を画すと言えるだろう。

だから中国ドラマの今までとは違い、今までにはない話題性はあったし、
人気も出たし、日本でも特に主役の2人はスターになった。
多くのグッズが次々と販売されるまでになった。

それなりに、ターゲットとしたであろう若い世代女子の心をつかんだ。

でも、他のアジア圏に比べれば格段に無名なままである。

 

何でそこまで人気にならなかったのだろう?

一つには、やっぱり無料放送しなかったから。
ここまでアジアで人気をさらったなら、誰でも見れるように
どこかの局が思い切って無料放送をすべきだったと思う。

でも今でもその様子は見られない。
ずっと後になって日本版写真集が出たように、ずっと後になってテレビ放送されるかもしれない。
でも、タイミングはすでに遅い。
一番いい時を逃したと思う。

なぜここまで一定数が結構長くファンでいるのに、 無料放送に至らないのだろう。

流行り始めた時が勝負だった。
無料放送にして何度か流していれば、確実とは言えないけどもっと、かなり、確かに、
本当に大ヒットしたかもしれない。

冬ソナは最初から無料で放送されたわけだし、今でも毎年のように無料でバンバン放送してる。
冬ソナは特にこの季節、年末大セールのようにどれほど放送されただろうか。

そのおかげでヨン様空港見送りファンが15人くらいに減っても、いまだにドラマ自体は愛され続ける。
世代を超えて愛され、今でも韓流ブームをつくる土台となっている。

それほど、無料放送は強い。
いくらネット配信・ネットの無料で見る技で見る・専門チャンネル配信を沢山しても
キー局での無料放送ほどには広まらない。
というか厳密には、ネットで配信して大ヒットするものと、そうでないものとがある。
陳情令は前者のタイプではなかったから、それなりに広めるために策が必要だった。

 

それに、考えてみたけどやはり原作が引っかかるのではないか。
原作はBLである。堂々BLであり、そしてそれを嫌う人は多い。
私もその一人だ。
ドラマは、BLの要素を排して、青年たちの友情物語に仕立てている。

でも原作の人気ぶりからして、たとえドラマの方は友情物語でも、
あれこれとBLじゃないか、あのシーンはBLじゃないか、あいつはBLじゃないか、
と何でもかんでも何かにつけてそれっぽいと噂になるのは間違いない。
それが観たい調べたい確かめたいがために、興味本位で観る人が多く出るのも予想はつく。

BLのすべてを否定するつもりはないしそれも一つの文化だろうと思う。
でも、BLものを通して、正直同性愛を「興味本位」と「お楽しみ」、見てはいけないものを見るような
好奇な目で見ている人は決して少なくないことは、知っている。
正直に言って、お世辞にもLGBTの人達の人権と人生を当たり前の主権として伝えるような内容ではない。

そしてそういうのが好きな人たちは、自分から腐女子・腐男子であるとは公言しない。
でも、その内内では腐っていることを自虐的に認め、同性愛という知りえないものの妄想を繰り広げている。

ほとんどのBLは、正直に言うと、同性愛に対する人権を傷つけ、偏見をつよく植え付けるものである。
その偏見はBLのショッキングなまでの内容によって、
LGBTすべてに及び、彼らの、ごく普通に受け入れられ、ごく普通に生きていきたいという、
必死の人権活動を、踏みつけている。
誰かが批判してくることを承知でいわせてもらいますが…

私は海外で育ってきた
海外ではLGBTはもっと受け入れられていたが、それでもまだまだ偏見があったのには驚いた

そしてそれに苦悩している人たちを見てきた
それでも生きていこうとする彼らのたくましい魂に涙が出る思いだった
私は小さいころから、親がそもそも先進的な考えだったのでLGBTの人たちと故意に交流できるように育てられた
大人になってから、そういう人たちがいるけど彼らも普通で彼らも同じ地球の仲間だと思えるように・・・

彼らの人権への叫びは涙のようだ
それが本当に虹になることを祈っている

だからこそ安易なBLが私は大嫌いだ
仮に普通にただ描かれた同性愛の物語があるなら、わざわざBLGLなどと呼ぶ必要もない

そう、そもそもそういうジャンルがあること自体が不自然なのだ

BLの世界は気分が悪いものが多い
腐系の人は何も思わないのか、漫画の魔道祖師もすごーくいいからと言うから
試しにさらっと見ただけで気分が悪くなった

それらは、本当に同性愛を真剣にとらえて人権を守るために描かれたとはいえない。
そういうコンテンツであるならわざわざ「BL」という分野にしなくてもいいし、
腐っていると自嘲し、隠れてファンでいるはずがない。

いま日本ではLGBTの権利と人権がやっと注目され主張できるようになった
でもやっと権利が主張できる、というレベルで、
それでもまだ理解なく、まだ差別・偏見・無理解・無知・イメージ先行は大きい。

とくに性的な意味で興味本位対象になってる。
そしてストレートの人々は彼らを性的にスゴイらしいと噂する。

そういう意識低い系の社会では正直言って、
「陳情令は違いますよ、BLじゃないですよ」と言っても、
原作やマンガや腐系の人の話題にする内容の影響から、違った意味で観られ、揶揄され、偏見をもたれ、
どうでもいいバカなことが話題になり、笑いものになることは目に見えてる。

中国人の友達でさえ、陳情令ヤバイと避け、
中華圏の友人たち、仕事関係の人たち、生徒たちはまるで無関心。

結局、その差はあるもののどこの国の人でも、
陳情令もその原作も、無条件に愛され人気があるわけではないと
だんだんわかってきた

 

本当に人気があるとしても、それはごく一部が大々的に好きなだけではないか。
ごく一部がハマりにはまって、人気を100倍、1000倍にしている
ごく一部がすべてのグッズを買って、さわいでいるだけ、かもしれない

その一方で、中華圏の人々は原作からして嫌で敬遠している人も実は多く、
だから、中華圏の国々人に、安易に陳情令のファンですというと、
やばい腐系だと思われかねないほどである

そういういわくつきの作品なので、
簡単に無料放送して広く見られることは様々な議論につながりやすく人気より逆にリスクがあるのだろうか。

最近、2getherがananの表紙になっているのを見て驚いた。
これもBLである。だから驚いたのではなく、陳情令を飛び越して2getherなら大々的に取り上げてもいいという、
日本人の判断なのだな、ということに。

作品からすれば、陳情令の方がずっと芸術性は高いし文学性もある

でも、やはりここもまた、いわくつきのBLとしてスルーされてしまったようだ
2getherがそこまで行けるならシャオ・ジャンとワンジーだってもっと知られていい。

というより、表紙になっていいはずほどの貫禄を2人は持つ。

でもそれを通り越して2getherが受け入れられるのは、国との関係もあるかもしれないが、
ドラマが、爽やかさとピュアさでBLと感じないほどであり、
同性愛を普通に受け入れられるものにしている点。

2getherは、物語の芸術性と人間の真実を描くという点では、凡庸すぎる。
しかし明るいし、爽やかで、どこか嫌な臭いのするまさに腐ったものを感じさせない。
全く感じさせない。

その点、陳情令はどこまでも深いし文化そのものを映し出し人間の様々な情も描く。
でも、陳情令は2getherに負けた。

結果として話題になったのは芸術性は高いが、いわくつきBLを元とした作品より、
爽やかだが凡庸な,日本社会許容範囲内のBLだった。

でも必ずいつか来るだろうその時が。
つまり、陳情令は陳情令として、BLではなくごく普通のドラマ作品として、評価される時が。

シャオ・ジャンは普通の俳優ではない。
これはファン目線でいっているのではなくて、
彼は、特にその瞳に、神聖で特別なものを持ってる。
彼は、道を間違わなければ必ずスターを超えて本物の俳優になれる。

私は信じたい。
いつか陳情令が誤解や偏見なく愛される時は来る。
いつか、LGBTであろうがなかろうが人権はすべての人にただ普通に平等になることを祈る

陳情令に出会って、中国ドラマを好きになった人や、中国文化に興味をはじめて持ったという人も少なくない

これは韓流ブームと同じ。簡単に触れられるテレビドラマ文化の重要部分だ。
そういう人たちは、BLが原作と知り、それを疎ましいと思いつつもあえて意識から外して
純粋に陳情令のファンになっている

今や韓流を超して山のように放送されている他の中国ドラマだけど、
そこまで人の心に火をつけられなかったところを、
陳情令はやりのけた。

これはそうそうあることではなく、故意にできることでもない。
大昔?から武侠ドラマを見てきて、陳情令のようなものは見たことがない。

希代の名作しかできないことがあり、それが陳情令なのだ。

 

老子の言葉を送ろう。

大器晩成。

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[ 陳情令人気のわけ~実は人気がない ]地球と個人が新しくなる時代へ2020/12/27 16:16